「あー...」
御堂の誕生日をあと二週間に控えた今日、
御堂には先に帰ってもらって誕生日プレゼントの散策を行う。

本多の誕生日プレゼントも大体すぐ決まるし
そのつもりで来たのだが。


よく考えてみたい。
本多とは収入もほとんど同じ。
お互いそれを理解して、
お互いに誕生日プレゼントは同じくらいのものをあげたり貰ったりする。

しかしながら。
御堂の収入は、克哉の何倍にもなる。
克哉が買えるものは御堂も買える。
克哉が買えないものも御堂は買える。


では何を買えばいいんだ!!

ワインとか、食料的プレゼントは既に確定してはいるものの、
物的プレゼントが決まらない。

「ど、どうしよう...」
本多とは友達。
御堂とは恋人。

その差が更にプレゼント選択の大きな違いである。


「お客様、何かお探しでしょうか?」
「...へ?」
商品を見ながら百面相をしていたであろうところに、
唐突に店員に声をかけられ間抜けな声を出してしまう。

「あ、えと...、誕生日プレゼントを」
恋人の誕生日プレゼントをと言おうとして、
ここはメンズコーナーであったことを思い出す。

「で、でも大丈夫です、ありがとうございます」
御堂の誕生日プレゼントだから、
自分だけで決めたくて、店員に礼を言うと一人でまた御堂に合うものを探す。

「(...ネクタイとかじゃベタすぎるし、財布もベタすぎるなぁ...)」
色々手にとって吟味する。
「(あー、もう閉店時間だってっ!! 決まんないよー!!)」

実はもうかれこれ一週間こんな事を続けている。
蛍の光が流れはじめ、渋々とデパートを出る。

「...はぁ」
どうしよう。
いや、書いてる側としても悩むべきとこ(ry

「あれー? 克哉さんじゃないっすか」
唐突に後ろから声をかけてきたのはギターを背負った太一であった。
「あれ? 太一! 久しぶりだね」
「ほーんと、元気でしたぁ?」
「うん」
「、のわりには何だか悩んでるみたいでしたケド?」
「ああ、誕生日プレゼントを何にしようかって」
「誰の?」
「えっと、ぶ、部長、の」
あまり好きではないその単語を出す。

「ふーん」
「太一は、何貰ったら嬉しい?」
「克哉さんから貰うんなら、何でも嬉しい!」
にへらっと言われて、誤魔化されそうになる。
「それじゃあ答えになってないよ」
「えええ〜。じゃあそうっすね、何か手作りのものとかっすかね。愛がこもってて嬉しいと思います」
愛なんて言葉を聞いて克哉はつい動揺してしまう。

「そっか、ありがと!! 参考にするよ!!」
「え? でもこれは...」
恋人対象だと言い掛けて立ち去る克哉に、思わず太一は声をあげる。
「克哉さん、家帰んのに電車乗らないんっすか!?」
「オレ引っ越したんだー!」
「えっ、嘘!? マジで!!」
太一は一人パニックだ。
「え、でもそっちって億ションとかがあるんだよな...?
 もしかして克哉さんって億ション住み!?」
「えっと...その(オレが買ったんじゃないから値段知らないんだけどな...でも...あれって億ション??)」

どもっていると、太一はそれが克哉の謙遜だと読み取る。
「ビンゴだ!! えー今度行ってみたいなー、なんちゃって」
「ちょっと、無理...かな...(御堂さんいるし)」
「そうっすよねー..。でもっ、またロイドにはいつでも来てくださいねー! サービスしときますから!!」
「あ、うん、ありがとう」

結局太一から「手作り」というキーワードを得て、
そこから何か御堂の喜ぶ、自分に作れそうなものを考え出していく。

発案されたときはナイスだと思えたが、

例えば。

「御堂さん、コレ、オレが作ったんです」
と言ってテディベアをあげたらどうだろう。
32歳がテディベアを貰ってどうしろというのだ。


テディベアは明らかに極論であるので、
別のものを例えにあげようと思う。

例えb「っていうか。手作りってかなり重いよな」

   ↑結論。


というわけで振り出しに戻ってしまった克哉。

あと二週間。果たして御堂への誕生日プレゼントは決まるのだろうか。






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