旅行のパンフレットを色々貰って吟味する。
ツアーで行く気はさらさら無いが、
回るルート等を考えてみたりする。
「やっぱり京都かなぁ...御堂さん似合いそうww」
幸せオーラ500%で眺める克哉は、
ある意味妄想が既に危険区域入り口だ。
「新幹線の予約取らないとっ...」
ネットを開いて空席を調べる。
「...ぇ...、う、嘘...」
幸せレベル海面下。
空席が、ない。
時間をずらしても、二人席は全く自由席も指定席も空いていない。
「な、ん、で...」
世間には秋休みが存在する場合がある。そのためだ。
「えええええっ、ど、どうしよう!!」
楽しみにしてるって言ってた!!
克哉ピンチである。
そんな時。
電話が鳴った。
「...へ?」
非通知の電話だった。
少しばかり不審に思ったのだが、
出てみると、懐かしい声がした。
『こんばんは。佐伯克哉さん』
思わず驚きのあまり反射的に切ろうとしてしまった。
『お悩みのようですね』
「あ...は、はい」
『では、私がいいものを差し上げましょう。
思い出作りにはとっておきですよ。
28日の夜、お届けにあがりますね』
ぷち。
返答もしていないのに切られた電話を、
呆然と眺める克哉。
あんな危険な眼鏡をくれた男が、
正常なものをくれる保障は0以下だ。
克哉は悩まされた。
ストレスで胃が崩壊寸前にまでなったところで、
28日の21時を迎えていた。
「(今からプレゼント探すとかもう無理だ...あの人が何を...)」
そんな事を考えながら
料理を作って一足遅い御堂の帰りを待っていたとき。
ガチャリとドアが開いて、
御堂が帰ってきた。
「あ、おかえりなさい」
「克哉、玄関にこんなものが...君か?」
「え?」
柘榴。
柘榴の濃厚な甘酸っぱい香りが玄関に溢れた。
そして、その途端、急激な睡魔が二人を襲った。
気が付いた瞬間、再度気絶するのではないかと思ったほどに、
御堂は焦った。
「...な、何故二人..」
「ちょ、<俺>!?」
「久しぶりだなぁ、<オレ>、御堂さん」
艶やかな低い声。
光を鈍く反射する銀のフレームの眼鏡。
そこに立っていたのは眼鏡をかけた克哉だった。
「ど、どういうことだ!?」
「前に<オレ>が説明したじゃありませんか。御堂さん。
眼鏡をかけると別人格になるって」
「い、いや、しかしそれは」
状況の全く掴めない彼に、
克哉は近付き、顎をクイと持ち上げた。
「お誕生日おめでとうございます、御堂部長。
そんなわけで今日は二人の 克哉 から誕生日プレゼントです」
「何をっ...んっ」
「<俺>!!」
御堂にキスをした克哉に、克哉は驚いてそれを阻止に入る。
いくら自分だからとはいえ、御堂は自分の恋人なのだ。
不愉快に決まっている。
「ああ、そうか。じゃあ御堂、お前は<オレ>にキスをしろ」
「はぁっ...、き、君は一体何を言って」
ディープキスで若干呼吸を乱した御堂に、
克哉は嘲笑しながら御堂の問いをさらっと無視した。
「ちょ、<俺>、やめようよっ、折角の御堂さんの誕生日なんだから
もっと温和に祝おうよ...こんな...」
あわわわと相変わらずの挙動不審をしている克哉に、
克哉は眉間に皺を寄せて鼻で笑う。
「御堂さん、貴方がする気がないのなら俺はここに来た意味がない。
...なら、暇つぶしにコイツをヤります」
「「はっ!?」」
御堂と克哉の声がハモる。
「莫迦言うな、<俺>!!」
「そうだ、何を言ってるんだ、君は本当に」
「なら3P。楽しいですよ」
無駄に御堂と克哉の脳内に「さんぴー」という単語がエコーする。
「俺が御堂を犯して御堂は<オレ>を犯せ」
「オレは?」
「啼いてろ」
「...」
「御堂さん、選択するのは貴方です。俺が<オレ>をやっているのを鑑賞するか、3Pするか」
これぞ究極の選択。
要するに自分が挿れられるということである。
克哉に。
身体は全くいつもの克哉と変わらないが中身の全く違う彼に。
克哉は克哉で克哉でない。
御堂の冷静沈着な思考回路がショート寸前。
オーバーヒート目前にして
御堂はおろおろとする克哉の目を見た。
克哉は自分のものだ。
「たかのっ...んぁ」
克哉にキスをする。
眼鏡を掛けた克哉は、その眼鏡を指で押し上げて口元を緩めた。
御堂を後ろから抱きしめる。
「ぁあ、たかぁ...、んはぁ...」
ぴちゃぴちゃと水音を立てて激しくキスをする一方、
克哉は御堂のスーツのボタンを外し、ワイシャツのボタンを解いて
そこから手を侵入させる。
胸板をなぞって突起に触れる。
そして片手は御堂の太ももを撫でて下半身に宛がう。
「ぁ...さ、佐伯...」
佐伯、と言って指しているのは眼鏡を掛けた克哉のことのようだ。
時折キッと克哉を睨みつける。
しかしそんなものには全く動じずに手を動かす。
「ああっ...」
声を漏らした御堂に反応したのはノーマルの克哉だった。
いつもよりも甘く、快感に溺れている御堂の喘ぎ声は克哉の耳を犯していく。
「<オレ>? 御堂の啼き声はそんなにイイのか?」
「なっ...」
「そんなに勃起して」
「んぁ、やめ、ろ...、佐伯!! 克哉は...私が」
克哉のモノをズボンの上から触ろうとした克哉に、
御堂は吠えた。
そして御堂が克哉のモノを取り出して愛撫を開始する。
「ぁ...、んっ」
「ひっ...さ、佐伯、やめっ」
二人の喘ぎ声を聞きながら、克哉は満足そうに嗤う。
「さぁて、御堂さん。ここで俺からのプレゼントタイムです」
唐突にそう言って克哉はポケットから蛍光色の機械を取り出して、
御堂の目の前に突きつけた。
普段克哉に使っているので見慣れたものだ。
「なっ...」
「コレを、ここにあげましょう」
営業スマイルというのだろうか、
爽やかに笑って見せながら御堂の開拓されていない後孔に差し込む。
「く...っ、ぁあああッ!!」
痛みに眉間に皺がよる。
「たか、のりさっ...」
「いい格好だな、御堂」
「<俺>ッ、やめっ...」
「御堂? 手が止まってるぞ? ちゃんと<オレ>を構ってやらないと」
「わ、わかっている...」
ガクガクと震える手で、克哉のソレを弄り、
そして完全に勃起している自分のモノを克哉の中に突っ込んだ。
「ぁああああ!! んぁぁあ!!」
大きくそそり立った御堂が克哉の中を行き来する。
眼鏡を掛けた克哉はその光景を眺めながら愉しそうに嗤っている。
二人が一回目の絶頂を迎えると、
克哉は御堂から機械を取り出して自身を突っ込む。
「あぁあああッ!!」
御堂の身体がビクンと跳ね、竿の先端にまだ若干残っていた白濁とした液が克哉の顔にかかる。
「んっ...」
「ホラ、<オレ>に挿し込め。御堂」
腰を掴んで克哉のナカに無理矢理挿れさせる。
「んっ、ふぅ」
「あ...あぁん、...ぅ...ぁ」
御堂はチカチカとする視界の中で、克哉のナカで抜き差しを繰り返す。
それもほとんど御堂の動きではなく、眼鏡を掛けた克哉によるものだ。
「も...もう駄目だっ...!! イ、イくっ...!!」
克哉の中にぶちまけられて克哉はビクッと身体を揺らした。
克哉の肩を掴んで倒れこむように意識を遠退けた御堂は、
そのままぐったりとしてしまった。
「ふん」
「<俺>!! なんてこと」
「御堂はよっぽどお前が好きなんだな」
「は?」
「自分が先にイってその後で俺にお前が犯されるのが嫌だったんだろう」
だから御堂は自分の上にかぶさる様に倒れこんだのか。
そう考えると克哉は顔を赤らめた。
「お前莫迦だな。この状況では一人でもヌけないだろう? それが萎えるのを大人しく待つんだな」
「...!!」
克哉は克哉を取り残して部屋を出て行った。
克哉はそのまま朝を迎えるしかなかった...。
「...んっ?」
苦しさに目覚めると、目の前に御堂がいた。
「たかのっ...ん」
キスを落とされ、思わず顔を赤くする。
「夢ではなかったようだな」
「ぁ...」
声を漏らす克哉に再度キスをする。
「...昨晩はイかせてやれなかったからな」
胸の突起を舐め、迷わず手を克哉自身に宛がう。
「ぁ、ちょ、待って..、た、かのりさ...」
慌てて御堂の手を止めさせると、
がばっと起き上がってダイニングテーブルを見る。
昨日折角腕によりをかけて作った料理がそのまま残っている。
「あ...。折角作ったのに...」
ワインを冷やすためにつけておいた氷水も既に完全に水になっている。
呆然とする克哉を後ろからそっと抱きしめる。
「孝典さん...」
「レンジで温めればいいだろう」
「でも...」
チーズの表面はパサついているし、
バジルの葉もしんなりとしている。
「大丈夫だ。克哉の作ったものは何でも美味しい」
そう言って首筋にキスを落とし、そのまま刻印を残していく。
「克哉...愛している」
「孝典さん...誕生日おめでとうございます...。プレゼントは...あの」
今更本気に昨日のアレがプレゼントとは言えるまい。
克哉がどもっていると、御堂は鞄からそっと小さな箱を出した。
「克哉」
「へ?」
そっと自分に向けられた箱に克哉は意味が分からず上擦った声をあげる。
「あけてみろ」
「...はぁ」
立場が逆転しているではないかと思いながらその箱を開けると、
中には指輪が入っていた。
「君は私のものだ」
顔が一気に赤くなるのが分かる。
恥ずかしいのと、嬉しいのと。
「はいっ、孝典さん!!」
Happy Birthday 御堂さん!!
******************************
******************************
後書きという名の懺悔室
大急ぎで書きました。
いやはや...、
大学の教授に呼び出しを食らいました(藁。
課題たんまりで大学に残ってそれらを片付けていました。
折角の御堂さんの誕生日なのに....。
旅行編はもう少し、もう少しお待ちください。
「君は...」
うわ、御堂部長!!
「私をなんだと思っているのだ?」
いや、御堂部長だと。
「何故私が」
いや、周辺サイト様は眼鏡で御堂さんの誕生日を飾ろうってやってまして
「仮にもここは『克哉』とのストーリーだろう」
あ、まあ最後はちゃんとハッピーでしょ?
「反省をしたまえ!! 全く」
あ、照れてる
「佐伯!! 来い!!」
「はい、接待の時間ですよ、和泉唯月」
ぎゃあああああああああっ、キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
「毎度、見苦しいものをお見せしてすみません。
懲りずにまた見てやってください。
あ、孝典さん、改めて誕生日おめでとうございます!!」
戻る