今日は太一の誕生日である。
克哉は二週間前からこの日の準備をし、楽しみに待っていた

の、だが。




「帰れないってどういうことだよ!!」

23日夜。
急に電話が鳴り、それが太一であることに胸を躍らせたのもつかの間。
太一がライブ後の打ち上げでバーに行ったはいいが、
帰ろうとしたところ丁度その店に強盗が入ってきて、店を乗っ取った。
太一としては打ち上げさえ終わればすぐに家に飛んで帰りたかったので、
適当に強盗を丸め込んで帰ろうとしたところ、
店員が呼んだ警察官に事情聴取だとパトカーに載せられ、色々面倒なことになっているらしいのだ。

克哉としては、23日は1日二人で過ごす予定だったのだが、
太一が行きたいというのなら、ということで、
その間に自分も部屋を飾り付けして、帰ってきたら盛大に迎えるつもりだったのだ。
軽く送り出してしまった自分を後悔する。


「克哉さん、ごめん」
「...」
「なるたけ早く帰るから、ね?」
「早く、な」

電話を切って、克哉はベッドにダイブした。
枕に顔を埋め、溜息と涙を零す。
「太一の馬鹿。なにやってんだよ。こんな大切な日に」







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